部下指導は「信頼関係」よりもまず「人間関係」から
ビジネスパーソン永遠の課題、それは「部下(後輩)指導」。
「最近の若者は何を考えているかわからない」
「ちょっと厳しく言うとすぐに会社を休む」
「部下に信頼されるためのコミュニケーションを身につけたい」
後輩との人間関係に関する悩みは数知れません。
かく言う私も後輩指導に悩んだ先輩社員の一人です。
そして、多くの生徒との信頼関係構築にも苦労しました。
ビジネスあるいは教育の世界では、よくこの「信頼関係」という言葉がキーワードになります。
チームを成長させていくためには、構成員それぞれの信頼関係が不可欠なのは言うまでもありません。
でも、ちょっと待ってください。
「信頼関係」って何でしょう?
考えてみると実体のない言葉です。
「お互いを信頼しあうこと」と言えばそれっぽく聞こえますね。
では「信頼」のベースとは?
それこそが「人間関係」だと思うのです。
仕事や教育の場において、「信頼関係」を作る前にはまずは「人間関係」が何より重要です。
あなたは相手のことをよく知っていますか?
観察していますか?
好きな食べ物は?
趣味は?
家族構成は?
私は「彼(彼女)が何に対して怒りを感じるのか」を知ることが、相手を知ることの第一歩だと考えています。
怒りというのは根源的なもので、相手の人となりを表すものだからです。
それを理解してようやく「人間関係」がスタートしたと言えるのです。
また、相手にあなたのことを知ってもらう努力も忘れてはいけません。
何を大切にしていて、どこに価値観があるのか。
どんなことに夢中になってしまうのか。
休日の過ごし方、よく見るテレビ、好きな本…そういったパーソナルな情報をどれだけ開示できているでしょうか?
孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますね。
これは本来、彼=敵、己=味方 という兵法の心得なわけですが、これに非常に近い考え方です。
相手のことをよく知り、自分のことも理解してもらう。
そうすればどんな困難でも信頼関係のもとで乗り越えていける、ということです。
ビジネスや教育における「信頼関係」は、この「人間関係」の上に成り立っています。
うわべだけの信頼関係は非常に脆く、実態がないのと同義です。
日ごろの部下指導、後輩指導に悩んでいるときは、まずは「人間関係」を見つめ直してみましょう。
案外、互いに当たり前のことを知らなかったなんてことがあるかもしれません。